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2008年1月20日 (日)

カオルギター「風神・雷神」

1月発売の「アコースティックギター・ブック 26号」に、カオルギター「風神と雷神」の記事が出ている。
だから、これから書く事は、ギター製作者の「中島 馨」氏の手前、今まで封印していたのであるが、世間一般に広く知られる事になるギターになるので、もう話しても良い頃合いだろう。

Fujinraijinhols_2「中島 馨(なかしま かおる)」氏は、知る人ぞ知るアコースティックギターの個人製作家である。
彼は、愛媛の「シーガル弦楽器工房」の塩崎氏の元で修行された後、「カオル・アコースティッククラフト」というギター製作工房を、九州・熊本で主宰している。
プロでは、「石川 鷹彦」「渡辺 香津美」等蒼々たるユーザーがメインギターとして使用し、世界的にも高く評価されている。


しかし、その人気の高さから、現在数十本のバックオーダーを抱えているにも関わらず、ここ数年の製作本数は極限られているらしい。
カオルギターのファンは、どれだけ待てばいいのであろうか‥‥一例を申し上げると、今から8年前の2000年に中島氏に直接オーダーした僕の友人の手元にはまだギターは届いていない。
彼とお付き合いするには、時を超えてじっくりお付き合いする必要がある。

いや、これは決して中島氏が悪いのではなく、中島氏はあくまで自分の最高のギターを作りたいと常に考えている結果であると信じる。
「ホルス」を製作して戴いた日高氏と親しくさせて戴くと感じる事だが、ギター製作家(=職人)は必要以上に名が売れるのを良しとしないもの。
製作に打ち込める環境を何よりも優先される。
中でも、特に中島氏は多くを公表しない方である。

前置きはこれくらいにして、その「中島 馨」氏が、2007年8月17~19日に米国で行われた「Healdsburg Guitar Festival(ヒルズバーグ・ギターフェスティバル)」に、「風神」と「雷神」という2本で一対となるツイン・ギターを出品した。

じつは、このツイン・ギターの事については、ネット上にも以前からちょくちょく紹介されていた。
http://www.dolphin-gt.co.jp/topic/Healdsburg_2007/index2.html
http://www.mikigakki.com/miki/healdsburg2007/hearldsburg2007.html
http://www.yokoyama-guitar.jp/EN/event_report.html

「風神」「雷神」のアイデンティティは、ギター塗装における「マジョーラ・カラー」使用。
これは衝撃的であった。

Fujinraijin2※マジョーラ塗装は、日本ペイントが開発した「光の当たる角度によって、色が変わって見える」偏光性塗料による特殊塗装。
http://www.nipponpaint.co.jp/maziora/mz_maziora.html
これを使ったアコースティックギターは、今まで無かったのではないか。

僕もこのギター製作に入った段階から噂は聞き及んでいたのだが、ラッキーな事にその姿を間近に見られる機会を得たのは、米国の展示会が終わった直後の9月である。

中島 馨氏の御厚意により、もしかしたら、そのギター達をこの僕が買えるかも知れないというのである。
なんというチャンス!
何年も待っている人がいるというのに、こういうイレギュラーが許されて良いのであろうか‥‥。
しかし、そのギターの価格は「一対で$20,000(何故かUSドル表記)」、$1=\110で為替計算すると、ナント「一対で220万円」也。
はっきり言って、庶民にとってお小遣いで簡単に用意できる金額ではない。
買う為には、まず手持ちのギターを数本手放さなければならないし、実際その為に手放したギターもある。


D28authentic1937_3でも、考え様によっては、「Martin D-28 Authentic」は、1本で500万円という。
http://www.officebflat.jp/martin/guitar/guitar_spec.php?id=567
それに比べたら、2本だからリーズナブルである‥‥それでも簡単に手が出るものではない‥‥。

いうことで、懇意にして戴いている大分市の「日高ギター工房」にわざわざ送って来て下さり、その魅惑のギター達を弾かせて戴けることになった。
下記は、その際の僕の印象である。

風神: OWL(アウル)ベースのカッタウエイギター。

Fujinraijin3_3オーソドックスなスプルースとローズウッドの組み合わせだが、非常に良い材を使っている。
OWLとは、現在手持ちの「HEAVEN」である程度想像はしていたのだが、何ともまろやかな印象。
しかし、その中に切れがあり、音の粒建ちが際だつ。
フラットピッキングでも薄いボディから意外な程のボリュームが放たれ、フィンガーピッキングでは単音の密度が濃い。
なんと、米国展示会の開始2日前の「8月15日」のラベルがある‥‥ぎりぎり‥‥。

雷神: OWLベースのフルアコースティックギター。

サウンドもルックスも極オーソドックスだが、各部全く新しい!
ラウンドトップのなめらかな曲線。
バックのハカランダとカーリーメイプルの取り合わせが斬新。
ふくよかで、暖かい包まれる様なサウンドであるにも関わらず、しっかりと音圧がある。
フルアコの知識がない僕ですが、フラットピッキングでも充分対応できる懐の広さを持ち合わせるギター。


※「OWL(アウル)」=フクロウの意。
僕が所有するカオルギター「HEAVEN cocobolo special」は、中島氏初の完全オリジナルボディであるが、それを発展させ、若干のコンパクトに設計されたギター。
最初の「OWL」は、1999年7月製作の「渡辺 香津美」氏所有のシリアル「60」である。
Heaven_3ちなみに、僕の「HEAVEN」は1999年4月製作のシリアル「58」であるから、ココボロサイド・バック、ピックガード材等、仕様が非常に似ている。

このツイン・ギター「風神・雷神」は、中島氏のギターの一つの到達点とも言える素晴らしいギター達であった。

さて、もし‥‥僕が、投機的な意識で購入を考えるならば、すぐに即決しても損はない。
‥‥が、僕は曲がりなりにもギターを、株や先物取引の様な「モノ」とは考えたくない。

Fujinraijin4カオルギターには、どのギターにも魔力があり、僕はそのギター達を愛している。
僕の「HEAVEN」にも「CROW-3」にも十二分にその魔力が備わっているわけだが、残念ながら僕はそのギター達をまだまだ生かし切っていない。
カオルさん、この度のお気遣い有り難う!
そして、その精神と技術に心より敬意を表します。
弾かせて戴いて恐縮なのですが、僕にはこのギター達で十分幸せです‥‥。

中島氏が一般の人が考えつくギターの常識を超え、異次元の世界にまで到達したとして、僕の腕と感性はとてもとても追いつけないであろう。
でもきっと、これから先、人々の感性と時代が、中島氏の先進性に追いつく時がきっと来るのでは無かろうか。

心よりカオルギターを愛する僕には、そう願わずにはいられないのである。


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コメント

金曜は楽しかったです!

アコースティックギターマガジン、発売一月末なんですか?
どおりで昨日島村楽器になかったはずです。

おかげで、すでに持っている、NO32を持ってないと勘違いして、また購入してしまいました。(T_T)

ぐすん。

リンクさせていただきました。
ブログのリンクはPCなら左に、携帯なら下に「リンク集」とありますので、クリックするとあります。
下に順番にいれてるんで、下のほうになってしまいますが、すいませんm(__)m。

オフィシャルサイトは、私が作ってるわけではないので、リンク足せません。すいません。

オフィシャルサイトはあまり見られてないので、ブログし更新してないのです。

これからもよろしくです(^o^)/

投稿: すうぃ~とマシンガン | 2008年1月27日 (日) 20時43分

それは、どうも、どうも♪
コメント有り難う!

こちらも「すうぃ~と歯科クリニック」にリンクさせて戴きました。

なに?同じ雑誌また買ったの?
君はそもそも、そそっかしいのだから、ちょっと考えてから買いなさ~い!

投稿: はっちゃん | 2008年1月27日 (日) 20時50分

はいっ(T_T)

投稿: すうぃ~とマシンガン | 2008年1月27日 (日) 20時57分

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